
2020年4月に始まった総合的な持続可能性プログラムであるビジョン2030の発表時にEssex Furukawa CEOのブライアン・キムが発した一言は、ヴァネッサ・スコットの心を動かしました。それだけでなく、その数年前に着手したプロジェクトを再び動かすきっかけにもなりました。
それは、次のような言葉でした。「Essex Furukawaがこれまで考えられていた限界を押し広げるだけでなく、以前のアイデアを振り返り、これまで実行できなかった創造的な解決法がないかを考える後押しをしたい」
あったはずです。彼女のプロジェクトが。それは、フェノール製造工程のグリーン化。
つまり、フェノール樹脂中間体の製造工程を作り直すプロジェクトです。その結果、環境への負荷が軽減されるとともに、必要な化学物質の種類を減らすことができます。
それは、スコットが以前から研究し、配合を重ね、試験していたものです。彼女はヴァンダービルト大学で化学の修士号を取得し、10年にわたりポリマー開発研究所で働いてきました。Essex Furukawaが製造するすべてのエナメル、希釈液、潤滑剤について把握しており、3冊のリングバインダーにはそれまでに彼女が集めた情報がいっぱいに詰まっていました。
彼女は、これでゴールにたどり着くために必要なものがすべてそろったと考えました。
「このプロジェクトに何年も携わり、研究所で開発作業を行ってきました」とスコットは言います。「このプロジェクトを次のステップに進めることは、個人的にも職業的にもやりがいがあります。
つまり、調達しなければならない化学物質が1つ減ることになります。ごみも少なくなります。そして環境にも良いのです」
彼女の言う通り、バリューチェーン全体で目に見える直接的な利益が生まれます。
これまで、Essex Furukawaは、フェノール樹脂を従来の方法(他の業界が通常行っている方法)で製造してきました。これに対し、彼女は改善を提案していました。Essex Furukawaのコアバリューである「破壊的イノベーション」を実践し、この方法を変えることに挑みました。
スコットは変えることに成功しました。良い方向へと。
「ホルムアルデヒドを使用しないため、環境への影響や安全性の面で、非常に優れています」とスコットは言います。「グリーンプロダクションのために良いことであるのはもちろん、最終的には関係者全員にとってのメリットになります」
また当初の製造工程では、最終製品を作る際に多くの廃水が発生していました。新しい工程では、廃水の量が減り、副産物が第三者によって再生され、循環型経済を支えることができます。こうした変化に支えられて、化学処理センターでの埋め立て廃棄物ゼロを達成し、転用率は98%に達しました。
スコットはまったく同じ化学物質の製造に成功したため、このイノベーションが環境に良い影響を与え、一般的に使用されているマグネットワイヤ製品の多くに影響を与えるサプライチェーンの不足を解消することができました。
「より多くの大手企業が、環境にも影響するサプライチェーンを検討するようになれば、市場がより活性化でしょう」と、Essex Furukawaの持続可能性プロジェクトマネージャーであるオースチン・ロビンソンは言います。「この業界にとって、本当の持続可能性を実現するのは難しい側面があります。グリーンプロダクションや破壊的イノベーションに分類される本質的なところを変えることができれば、ビジョン2030の取り組みを前進させることができます」
Essex Furukawaは、持続可能な未来を創造するというビジョン2030に動機付けられ、献身的に取り組んでいます。私たちが企業として行う決定、パートナーシップ、および投資は、この共通の目標によって推進されます。Essex Furukawaは、世界が直面している環境問題を改善するためのソリューションの一部となることをお約束します。
サプライチェーンの各段階での配合を確認することも、持続可能性への取り組みの一例です。この取り組みの前進を目の当たりにしたスコットは大喜びしました。
「研究所での作業を何度も繰り返し、パイロットバッチや研究所試験を行いました」と彼女は言います。「概念実証をすれば、目標に到達できるのがいつかが分かります。ビジョン2030を通して目標に到達するのを確認できるのは素晴らしいことです」